エンディングノート術:目的から逆算して書こう

机を囲んで、ぴょこすけがノートを書き、のんきちがタブレットを持ち、たけはるが穏やかに見守る様子を描いたイラスト。背景は淡い青で左上に余白がある。 エンディングノート

エンディングノートを手に取ったけれど、白紙のまま進まない…そんな声はとても多いです。実は1ページ目から入るよりも、書き始めようと思った気持ちから「書こうと思った目的」から書き始めたほうが、最初の一歩がスムーズになります。本記事では、そんなエンディングノートを書き始めよう思えるようなきっかけ術をご紹介します。

ぴょこすけ
ぴょこすけ

この前ノートを開いたんだけど…何を書けばいいか分からなすぎて、ページに白いままで…

のんきち
のんきち

その気持ちすごくわかるよ。ぼくも紅茶の湯気を見つめちゃって、ノートを閉じちゃったことある。

ぴょこすけ
ぴょこすけ

のんきちでもそうなるんだ!

のんきち
のんきち

うん…。でも、たけはるさんが『書き始めようと思った気持ちから書くといい』って教えてくれたんだ。

たけはる
たけはる

そのとおり。自分の気持ちにビビっと項目から書いたらいいよ。内容も、『誰に・何を・どんな時に伝えたいか』を一行だけ書けば、心が動き始めるよ。

ぴょこすけ
ぴょこすけ

一行なら僕にも書けるかも…!『いつもありがとうを伝えたい』みたいなのでもいいの?

たけはる
たけはる

いいね!それだけで十分。この記事では、その“一行”を書いてから広げる具体的なヒントを一緒に見ていくよ。

この記事で得られること

この記事を読むと、まず「書き始めの一歩」がぐっと楽になります。エンディングノートを書きたいと思ったあなたの想いが、ゴールに自然に近づいていく方法を学べます。

具体的には:目的の言語化、優先ページの決め方、具体的な書き出し例、保存・共有の方法、そして続ける仕組みまで。本を読むみたいにゆっくり読めば、自然に「書いてみようかな」という気持ちになるはずです。

目的を言葉にしよう

まず、ノートを書く目的をやさしい言葉でまとめます。以下の3点を短く書き出してみましょう:

  • 相手:誰に伝えたい?
  • 伝えたいこと:感謝やお願いなど、短い言葉で
  • 状況:どんな時に読んでほしいか

5分で書くつもりでOK。長く考えなくて大丈夫です。簡単に始めたその一行が、全体の形を作ります。

のんきち
のんきち

僕は“孫に笑顔を届けたい”って書いてみたら、何となく胸がほっこりしたよ。

各ページを決めよう

ノートには「医療・お金・想い」など、書きたい項目がたくさん。でも全部を書く必要はありません。一番心に浮かぶものから書きましょう。

医療・お金・想い、どれから始める?

例えば、健康が気になる方は医療から。家族との思いを伝えたいなら「想い」。資産の管理を安心させたいなら「お金」から始めると書きやすいです。

ぴょこすけ
ぴょこすけ

僕は“延命治療の希望”から書き始めてみようかな。家族に迷ってほしくないし。

空欄のままで良い項目もある

すぐに書けないページは空欄でかまいません。無理にすべて埋めるより、「後で書く」と付箋を貼るくらいの気軽さでOKです。書けない時期があっても、それは自然なことです。

書き出しの初めの一歩

「書けない」と感じたら、この例文から始めましょう。最初は写してもかまいません。そのうち、自分の言葉に少しずつ変えていけばOKです。

  • 家族へ:これまで支えてくれて本当にありがとう。
  • 友人へ:一緒に笑った日々は、私の宝物です。
  • 孫へ:君の成長を見るのが、何よりの幸せでした。
  • 妻(夫)へ:長い間、隣にいてくれてありがとう。
  • 子どもへ:困ったときは、周りを頼ってください。
  • 親へ:生んでくれたことに感謝しています。
  • 兄弟へ:小さな喧嘩も今は懐かしい思い出です。
  • ペットへ:一緒にいてくれてありがとう。また会おうね。
  • もしもの時:延命治療は望みません。自然に任せたいです。
  • もしもの時:このお金は葬儀費用に使ってください。

Q&Aコーナー

Q1:エンディングノートって法的効力あるの?

A:いいえ。エンディングノートは「気持ち」を伝えるノートであり、法的効力はありません。財産の分け方や遺言に関することを正式に反映させたい場合は、別に「遺言書」を作る必要があります。

※遺産分割などの効力を持たせるには、民法の方式に従った「遺言」が必要です。出典:e-Gov法令検索(民法)「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」(民法960条)典:船橋市「エンディングノートの法的効力」

エンディングノートは「気持ちや希望を家族に伝える役割」、遺言書は「法的に効力を持つ書類」と役割が違うのです。ですので、この記事でご紹介した「1行の目的文」や「想いをつづるページ」は、ご自身やご家族の心を整理する大切なステップ

一方で、相続や財産管理については、弁護士や司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。

Q2:いつから書けばいい?

A:思い立ったその時がベストです。「まだ早い」と思っても、日常の気持ちを書くだけでも十分意味があります。

Q3:暗証番号やパスワードは書いていいの?

A:セキュリティの観点から、直接ノートに書くのは避けましょう。別の紙に書いて安全に保管し、信頼できる家族に伝える方が安心です。

ノートを書いた後はどうしたらいいの?

せっかく書いたノートも、**「どこにあるか分からない」**状態では役に立ちません。
安心して活用するために、以下の工夫を取り入れてみましょう。

  • 保管場所を決める:引き出しや書棚など、家族がすぐ見つけられる場所に。
  • コピーを作る:原本は大切に、コピーを信頼できる家族に渡しておくのも安心。
  • デジタル保管:写真を撮ってスマホやクラウドに保存しておく方法もあります。
  • 共有を伝える:家族に「このノートを書いたよ」「ここにあるよ」と伝えておくことが一番大切です。

保管について

エンディングノートは「紙に書く」方法と「電子で保存する(スマホやパソコンに残す)」方法の2つがあります。どちらが正しいというわけではなく、人によって向き不向きがあります。ここでは実際のエピソードを紹介します。

📖 紙のエンディングノート
ある方は、お気に入りの万年筆でノートに一行ずつ丁寧に書きました。毎月の見直しのとき、文字のかすれやインクのにじみを見て「この時は少し体調が悪かったなぁ」と振り返ることもあったそうです。紙は書いた時の気持ちやぬくもりが残りやすく、後から読み返すと“その日の自分”に会えるのが魅力です。

のんきち
のんきち

僕は“紙派”かな。書いた字の形から、あの日の気持ちまで思い出せるんだよね。

💻 電子保存のエンディングノート
一方で、スマホやパソコンに保存している方は、病院での待ち時間などにサッと開いて更新していました。文字を打ち直すだけで最新の希望を残せるので、変更が多い人には便利です。ただし、パスワードや操作方法を家族に伝えておく必要があります。

万一の際に遺族が端末ロックを解除できる仕組みや、契約中サービス・ID等の整理を生前から。エンディングノートの活用も有益。

出典:国民生活センター(報道発表資料)出典:国民生活(2025年7月号)

※パスワード自体の共有は避け、オフラインの控え(厳重保管)やOS/ブラウザの管理機能・パスワードマネージャの活用等が推奨です。出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威(個人)2025」出典:厚生労働省(ACPリーフレット)

比較して選ぶ

どちらも正解です。好きな方を選べば大丈夫です。

  • 温かみや書く楽しさを大切にしたい方 →
  • 情報を常に最新にしたい方や、遠方の家族と共有したい方 → 電子保存
たけはる
たけはる

“紙には想いを、電子には事務的な情報を”と分けるのも上手な方法だよ。

紙 vs 電子保存(比較表)

形式メリットデメリット
・手に取りやすい
・書き心地が温かい
・電池やネットが不要
・紛失や劣化のリスク
・遠方の家族と共有しにくい
電子保存・すぐ更新できる
・複数人と同時に共有可能
・バックアップで安心
・セキュリティ管理が必要
・操作に慣れるまで時間がかかる

紙のエンディングノート:鍵の保管

🔑 紙なら、鍵付きの引き出しや金庫に保管すると安心です。災害対策として「コピーをもう1冊作り別の場所に置く」工夫も有効です。

電子保存のエンディングノート:パスワード保管

💡 パソコンやスマホに保存する場合は、パスワードを信頼できる家族1人にだけ伝えておきましょう。紙にメモして金庫に入れておくのも安心です。

家族につたえよう

エンディングノートを話題に出すときは、かしこまらず普段の会話の延長で大丈夫です。夕方のお茶の時間に「ちょっとノートを見てみる?」と声をかけるだけで自然に始められます。

堅苦しくせず、アルバムをめくるような気持ちで会話を楽しみましょう。

  • アルバムを見返す
  • 昔の思い出を話す
  • これからの希望を軽く伝える
ぴょこすけ
ぴょこすけ

お茶しながらノートを見る会”をしたら、昔の旅行の話で盛り上がって、すごく楽しかったよ

たけはる
たけはる

家族会議”というより“おやつ時間の延長”くらいがちょうどいいね。

続ける仕組みをつくろう

1回で書ききる必要はありません、書く時間を決めたりして少しずつでいいので書いていきましょう。いつかは完成するね~くらいの気持ちで臨むのがベストです。

書く日を決めよう

📅 カレンダーやスマホに「ノートを書く日」を登録しておくとやる気の持続につながります。たった5分の確認でも効果がありますので、ぜひ決めてみて下さい。

更新サイクル

季節の変わり目などの節目に見直すと習慣化しやすいです。最低でも年1回、可能であれば半年ごとの更新がおすすめです。

継続のコツ

ノートは一度で完成ではありません。書くときは「日付を入れる」「二重線で消して残す」などをすると、歩みが“人生の記録”として積み重なります。

まとめ

  • 白紙で止まるときは「目的文を1行」から始める
  • 例文やアイディア集を使って、まずは書き出してみる
  • 保管方法は「紙のぬくもり」か「電子の便利さ」から選ぶ
  • 続ける仕組みを生活に取り入れて習慣化する

エンディングノートは完璧に仕上げる必要はありません。むしろ「今の思い」を残すことこそが価値になります。まずは1ページ、1行だけでも大丈夫。その一歩が未来の安心につながります。

今日からの一歩

👉 まずは「目的文を1行」書いてみましょう。それが最初のページの力強いスタートになります。
ノートは白紙でもかまいません。思いを形にすることから、あなたのエンディングノートは動き出します。

たけはる
たけはる

最初は一言だけでいいよ。『家族にありがとうを伝えたい』。それが書けたらもう立派なエンディングノートの第一歩だね。

関連記事リスト

  • エンディングノートの基本
  • 終活チェックリスト
  • 家族と共有するエンディングノートのコツ

本記事は一般的情報の提供を目的とし、専門家の助言に代わるものではありません。個別の判断は専門家へご相談ください。