エンディングノートを手に取ったけれど、白紙のまま進まない…そんな声はとても多いです。実は1ページ目から入るよりも、書き始めようと思った気持ちから「書こうと思った目的」から書き始めたほうが、最初の一歩がスムーズになります。本記事では、そんなエンディングノートを書き始めよう思えるようなきっかけ術をご紹介します。

この前ノートを開いたんだけど…何を書けばいいか分からなすぎて、ページに白いままで…

その気持ちすごくわかるよ。ぼくも紅茶の湯気を見つめちゃって、ノートを閉じちゃったことある。

のんきちでもそうなるんだ!

うん…。でも、たけはるさんが『書き始めようと思った気持ちから書くといい』って教えてくれたんだ。

そのとおり。自分の気持ちにビビっと項目から書いたらいいよ。内容も、『誰に・何を・どんな時に伝えたいか』を一行だけ書けば、心が動き始めるよ。

一行なら僕にも書けるかも…!『いつもありがとうを伝えたい』みたいなのでもいいの?

いいね!それだけで十分。この記事では、その“一行”を書いてから広げる具体的なヒントを一緒に見ていくよ。
この記事で得られること
この記事を読むと、まず「書き始めの一歩」がぐっと楽になります。エンディングノートを書きたいと思ったあなたの想いが、ゴールに自然に近づいていく方法を学べます。
具体的には:目的の言語化、優先ページの決め方、具体的な書き出し例、保存・共有の方法、そして続ける仕組みまで。本を読むみたいにゆっくり読めば、自然に「書いてみようかな」という気持ちになるはずです。
目的を言葉にしよう
まず、ノートを書く目的をやさしい言葉でまとめます。以下の3点を短く書き出してみましょう:
- 相手:誰に伝えたい?
- 伝えたいこと:感謝やお願いなど、短い言葉で
- 状況:どんな時に読んでほしいか
5分で書くつもりでOK。長く考えなくて大丈夫です。簡単に始めたその一行が、全体の形を作ります。

僕は“孫に笑顔を届けたい”って書いてみたら、何となく胸がほっこりしたよ。
各ページを決めよう
ノートには「医療・お金・想い」など、書きたい項目がたくさん。でも全部を書く必要はありません。一番心に浮かぶものから書きましょう。
医療・お金・想い、どれから始める?
例えば、健康が気になる方は医療から。家族との思いを伝えたいなら「想い」。資産の管理を安心させたいなら「お金」から始めると書きやすいです。

僕は“延命治療の希望”から書き始めてみようかな。家族に迷ってほしくないし。
空欄のままで良い項目もある
すぐに書けないページは空欄でかまいません。無理にすべて埋めるより、「後で書く」と付箋を貼るくらいの気軽さでOKです。書けない時期があっても、それは自然なことです。
書き出しの初めの一歩
「書けない」と感じたら、この例文から始めましょう。最初は写してもかまいません。そのうち、自分の言葉に少しずつ変えていけばOKです。
- 家族へ:これまで支えてくれて本当にありがとう。
- 友人へ:一緒に笑った日々は、私の宝物です。
- 孫へ:君の成長を見るのが、何よりの幸せでした。
- 妻(夫)へ:長い間、隣にいてくれてありがとう。
- 子どもへ:困ったときは、周りを頼ってください。
- 親へ:生んでくれたことに感謝しています。
- 兄弟へ:小さな喧嘩も今は懐かしい思い出です。
- ペットへ:一緒にいてくれてありがとう。また会おうね。
- もしもの時:延命治療は望みません。自然に任せたいです。
- もしもの時:このお金は葬儀費用に使ってください。
Q&Aコーナー
Q1:エンディングノートって法的効力あるの?
A:いいえ。エンディングノートは「気持ち」を伝えるノートであり、法的効力はありません。財産の分け方や遺言に関することを正式に反映させたい場合は、別に「遺言書」を作る必要があります。
※遺産分割などの効力を持たせるには、民法の方式に従った「遺言」が必要です。出典:e-Gov法令検索(民法)「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」(民法960条)出典:船橋市「エンディングノートの法的効力」
エンディングノートは「気持ちや希望を家族に伝える役割」、遺言書は「法的に効力を持つ書類」と役割が違うのです。ですので、この記事でご紹介した「1行の目的文」や「想いをつづるページ」は、ご自身やご家族の心を整理する大切なステップ。
一方で、相続や財産管理については、弁護士や司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
Q2:いつから書けばいい?
A:思い立ったその時がベストです。「まだ早い」と思っても、日常の気持ちを書くだけでも十分意味があります。
Q3:暗証番号やパスワードは書いていいの?
A:セキュリティの観点から、直接ノートに書くのは避けましょう。別の紙に書いて安全に保管し、信頼できる家族に伝える方が安心です。
ノートを書いた後はどうしたらいいの?
せっかく書いたノートも、**「どこにあるか分からない」**状態では役に立ちません。
安心して活用するために、以下の工夫を取り入れてみましょう。
- 保管場所を決める:引き出しや書棚など、家族がすぐ見つけられる場所に。
- コピーを作る:原本は大切に、コピーを信頼できる家族に渡しておくのも安心。
- デジタル保管:写真を撮ってスマホやクラウドに保存しておく方法もあります。
- 共有を伝える:家族に「このノートを書いたよ」「ここにあるよ」と伝えておくことが一番大切です。
保管について
エンディングノートは「紙に書く」方法と「電子で保存する(スマホやパソコンに残す)」方法の2つがあります。どちらが正しいというわけではなく、人によって向き不向きがあります。ここでは実際のエピソードを紹介します。
📖 紙のエンディングノート
ある方は、お気に入りの万年筆でノートに一行ずつ丁寧に書きました。毎月の見直しのとき、文字のかすれやインクのにじみを見て「この時は少し体調が悪かったなぁ」と振り返ることもあったそうです。紙は書いた時の気持ちやぬくもりが残りやすく、後から読み返すと“その日の自分”に会えるのが魅力です。

僕は“紙派”かな。書いた字の形から、あの日の気持ちまで思い出せるんだよね。
💻 電子保存のエンディングノート
一方で、スマホやパソコンに保存している方は、病院での待ち時間などにサッと開いて更新していました。文字を打ち直すだけで最新の希望を残せるので、変更が多い人には便利です。ただし、パスワードや操作方法を家族に伝えておく必要があります。
万一の際に遺族が端末ロックを解除できる仕組みや、契約中サービス・ID等の整理を生前から。エンディングノートの活用も有益。
出典:国民生活センター(報道発表資料)/出典:国民生活(2025年7月号)
※パスワード自体の共有は避け、オフラインの控え(厳重保管)やOS/ブラウザの管理機能・パスワードマネージャの活用等が推奨です。出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威(個人)2025」/出典:厚生労働省(ACPリーフレット)
比較して選ぶ
どちらも正解です。好きな方を選べば大丈夫です。
- 温かみや書く楽しさを大切にしたい方 → 紙
- 情報を常に最新にしたい方や、遠方の家族と共有したい方 → 電子保存

“紙には想いを、電子には事務的な情報を”と分けるのも上手な方法だよ。
紙 vs 電子保存(比較表)
形式 | メリット | デメリット |
---|---|---|
紙 | ・手に取りやすい ・書き心地が温かい ・電池やネットが不要 | ・紛失や劣化のリスク ・遠方の家族と共有しにくい |
電子保存 | ・すぐ更新できる ・複数人と同時に共有可能 ・バックアップで安心 | ・セキュリティ管理が必要 ・操作に慣れるまで時間がかかる |
紙のエンディングノート:鍵の保管
🔑 紙なら、鍵付きの引き出しや金庫に保管すると安心です。災害対策として「コピーをもう1冊作り別の場所に置く」工夫も有効です。
電子保存のエンディングノート:パスワード保管
💡 パソコンやスマホに保存する場合は、パスワードを信頼できる家族1人にだけ伝えておきましょう。紙にメモして金庫に入れておくのも安心です。
家族につたえよう
エンディングノートを話題に出すときは、かしこまらず普段の会話の延長で大丈夫です。夕方のお茶の時間に「ちょっとノートを見てみる?」と声をかけるだけで自然に始められます。
堅苦しくせず、アルバムをめくるような気持ちで会話を楽しみましょう。
- アルバムを見返す
- 昔の思い出を話す
- これからの希望を軽く伝える

お茶しながらノートを見る会”をしたら、昔の旅行の話で盛り上がって、すごく楽しかったよ

家族会議”というより“おやつ時間の延長”くらいがちょうどいいね。
続ける仕組みをつくろう
1回で書ききる必要はありません、書く時間を決めたりして少しずつでいいので書いていきましょう。いつかは完成するね~くらいの気持ちで臨むのがベストです。
書く日を決めよう
📅 カレンダーやスマホに「ノートを書く日」を登録しておくとやる気の持続につながります。たった5分の確認でも効果がありますので、ぜひ決めてみて下さい。
更新サイクル
季節の変わり目などの節目に見直すと習慣化しやすいです。最低でも年1回、可能であれば半年ごとの更新がおすすめです。
継続のコツ
ノートは一度で完成ではありません。書くときは「日付を入れる」「二重線で消して残す」などをすると、歩みが“人生の記録”として積み重なります。
まとめ
- 白紙で止まるときは「目的文を1行」から始める
- 例文やアイディア集を使って、まずは書き出してみる
- 保管方法は「紙のぬくもり」か「電子の便利さ」から選ぶ
- 続ける仕組みを生活に取り入れて習慣化する
エンディングノートは完璧に仕上げる必要はありません。むしろ「今の思い」を残すことこそが価値になります。まずは1ページ、1行だけでも大丈夫。その一歩が未来の安心につながります。
今日からの一歩
👉 まずは「目的文を1行」書いてみましょう。それが最初のページの力強いスタートになります。
ノートは白紙でもかまいません。思いを形にすることから、あなたのエンディングノートは動き出します。

最初は一言だけでいいよ。『家族にありがとうを伝えたい』。それが書けたらもう立派なエンディングノートの第一歩だね。
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- 終活チェックリスト
- 家族と共有するエンディングノートのコツ
本記事は一般的情報の提供を目的とし、専門家の助言に代わるものではありません。個別の判断は専門家へご相談ください。