モノよりも厄介なのが「情報」。通帳は? 保険は? パスワードは?いざという時に家族が迷わないようにするには、
- 入口をひとつにまとめる
- 名簿に整理する
- 1枚の地図に仕上げる
この3ステップが大切です。
ここでは、前回紹介した 「3つのレンズ(人・時間・物語)」 を使いながら、情報整理を「今日から動ける形」に落とし込んでいきます。

昨日、医療保険の証券を探したんだけど…銀行の通帳と一緒にあちこち移動してて、30分も探しちゃったんだよ。疲れた〜。

それはよくあることだよ。モノの整理と違って、情報は“見えない”から迷子になりやすいんだ。だからまずは“入口”をひとつにするのが大事なんだよ。

入口? ってことは、通帳や契約書をまずは全部ひとまとめにするってこと?

そうそう。集めるだけで全体が見えてくるんだ。それから名簿に分けて、最後に“地図”にすれば、家族も迷わなくなる。

なるほど! モノの箱と同じで“最初の場所”を決めることが肝心なんだね。
STEP1 まずは“入口”をひとつにまとめる|集約ボックスで情報整理を始める
情報整理の最初のステップは「入口をひとつにすること」です。
通帳や保険の書類が分散していると、探すだけで疲れてしまいます。まずは 集約ボックス を1つ用意して、すべてをここにまとめましょう。
✅ メリット
- 整理の拠点ができる
- 関連情報をまとめやすい
- 「探す」時間がゼロになる
👉 通帳・印鑑は鍵付きボックスに移動し、所在リストに追記。
👉 「あとで読む」紙には**期限(日付)**を書き、過ぎたら処分。

箱に入れるだけなら、僕でもできそう!
Q:古い契約書や不要そうな紙も全部入れますか?
A:はい。最初は判断しないで、とにかく集めるのがコツ。判断はSTEP2以降でOKです。
STEP2 情報を3つの名簿に整理する|財産・書類・デジタルのリスト化
集めた情報は3種類に分けて「名簿」に整理します。
大切なのは正確さよりも “所在が分かること”。金額や内容は概算でも構いません。
財産名簿(財産目録)|通帳・証券・保険を一覧に
「財産名簿」は、お金や資産の流れを整理するための名簿です。
預貯金・証券・保険・不動産・借入を一覧にまとめましょう。
📒 記載例
- ○○銀行 △△支店/普通/□□万円/通帳=金庫A段・青ファイル
- ▲▲証券/口座番号/投信:ニホン株インデックス
- 生命保険(株式会社□□)/契約No.×××/担当:山田/証券=金庫B段

数字じゃなくて“所在”を書けばいいんだね!
Q:残高は正確に書くべきですか?
A:概算で十分です。目的は「全体の流れを把握すること」であり、正確さは二の次です。
重要書類名簿|本人確認・年金・権利証をまとめる
「重要書類名簿」は、本人確認や保険証券、不動産権利証など、家族にとって“鍵”になる情報をまとめるリストです。
📒 記載例
- マイナンバー写し/運転免許証 → 金庫A段
- 年金通知/年金手帳 → 青ファイル
- 生命保険証券/契約番号/問い合わせ先
- 通帳・印鑑 → 鍵付きボックス

“在処+連絡先”をセットで書くだけで、家族が迷わず動けるんだよ。
Q:どこに書いてもいいですか?
A:リストの“1ページ目”がおすすめです。家族が開いてすぐにわかる位置にまとめましょう。
デジタル名簿|ID・パスワード・サブスク契約を可視化
ネット銀行、証券口座、サブスク、写真データ…。見えない財産は「デジタル名簿」としてまとめましょう。
紙とアプリを組み合わせ、役割分担 で整理するのがコツです。
📒 整理方法
- 紙:マスターパスワード・合言葉 → 金庫の白封筒へ
- アプリ:日常のログイン情報(代表者に共有)
- サブスク:サービス名/ID/支払い方法/解約窓口
- 写真:家族アルバムに集約し、共有相手を決める

写真データって、つい溜めちゃうんだよね…。でもアルバムにまとめれば安心かも。
STEP3 所在リストを作る|家族が迷わない地図の作り方
名簿を書いただけでは「情報の倉庫」。
家族にとって大事なのは「どこに何があるか」がすぐ分かることです。
そこで最後に作ってほしいのが 1枚の「所在リスト」=地図。
「通帳はここ」「保険は誰が担当」「デジタルはこの場所」といった一覧表を作りましょう。
📌 基本フォーマット
項目名|在処(物理/デジタル)|問い合わせ先|家族の担当|更新日
📌 記載例
- 通帳(○○銀行)|金庫A段・青ファイル|0120-XXXX|長女|2025/08
- 医療保険(△△生命)|保険ファイル|担当:山田|長男|2025/08
- マスターパス(紙)|金庫B段・白封筒|緊急時のみ開封|長女|2025/08

“誰に聞けばいいか”まで見えるから、家族が安心するね。
保管場所と保管方法|優先度別に整理する3つのルール
情報は「使う頻度」で保管場所を分けると迷いません。
よく使うもの(毎週〜毎月)
- 財布、通院ポーチ、診察券、よく使う通帳など
- 玄関近くの「出入口の棚」や机の手前に置く
- 使ったらすぐ戻せる場所に決める
たまに使うもの(年に1〜数回)
- 年金の通知、保険の更新のお知らせ、確定申告で使う紙など
- 引き出しやファイルの「手前」にまとめる
- 表紙や外側に「年金」「保険」などと大きく書いておくと安心
めったに使わないもの(保管だけ)
- 不動産の権利証、古い契約の書類、解約済みの控えなど
- 引き出しの奥や「しまい箱」にまとめて入れる
- どこに入れたかを「所在リスト(1枚の地図)」に書いておく
👉 ポイント:金額や詳細より「所在と担当」が分かることが最重要です。
まとめ & 今日の一歩
- 情報整理は「集約 → 名簿 → 所在リスト」で進める
- 名簿は「財産・重要書類・デジタル」の3つに分ける
- 正確さより“所在”が大事
- 所在リスト=地図を1枚作れば、家族が迷わない
- レンズで見て優先度を決めれば、無理なく進められる
👉 今日の一歩:手元の通帳や保険の書類を、まずは集約ボックスにひとまとめしてみましょう。