『家族じかん』で解決する終活の不安と工夫

『家族じかん』で解決する終活の不安と工夫をイメージしたイラスト。家族がテーブルを囲んで話し合っている様子。 家族・人間関係

終活というと、全部自分ひとりで進めるイメージがあると思います。

でも実際には、介護や住まい、相続といったテーマは、一人だけで決められることではありません。家族の理解と協力が欠かせないのです。

このサイトでは、終活に関して話し合う「家族との話し合い」を 『家族じかん』 と呼んでいます。
「会議」と聞くと重く感じますが、『家族じかん』はもっとやわらかく、お茶を飲みながら10分でも話す――そんな気軽な時間のことです。

ここでは、その『家族じかん』をどう始めるか、どう続けるか、そして実際の事例から見えてくる工夫を紹介します。

たけはる
たけはる

二人とも、終活を少しずつ進めてるみたいだね。ところで…家族には話したことある?

ぴょこすけ
ぴょこすけ

うーん…まだ言ってないなぁ。重たい話になりそうで。

のんきち
のんきち

わたしもだよ。どう切り出せばいいか分からなくて、そのままになってる。

たけはる
たけはる

そうだよね。でも、介護や住まい、相続って“その時になってから”だと感情的になりやすいんだ。だからこそ、元気なうちから“家族じかん”を持つことが大事なんだよ。


『家族じかん』が大切な理由

本人の思いと家族の考えは、往々にしてすれ違うものです。
例えば、本人は「介護が必要になったらできるだけ自宅で」と思っていても、家族は「施設の方が安心」と考えるかもしれません。
逆に、家族が「相続のことを早めに話したい」と思っても、本人は「まだそんな話は早い」と感じることもあります。

こうしたズレをなくすのが、『家族じかん』。
元気なうちから少しずつ話すことで、不安や負担を軽くできるのです。

ぴょこすけ
ぴょこすけ

うちの家族はテレビや食事の話ばかりで…終活のことを切り出すのが難しいんだよね。

のんきち
のんきち

わたしもだよ。せっかく集まっても、大事なことはそのままにして帰っちゃうんだ。

たけはる
たけはる

そうなんだよね。大切なことほど後回しになりやすいんだ。でも、10分だけでも“家族じかん”を作って、『これからの暮らしをどうしようか』ってお茶を飲みながら話してみると、不思議と自然に言葉が出てくるよ。


家族みんなで共有しておきたい4つのこと

終活に関わるテーマは数多くありますが、その中でも特に優先して話しておきたいのが次の4つです。
これらは、後からトラブルや後悔につながりやすいポイントだからこそ、元気なうちに「家族じかん」で共有しておきましょう。

1. 介護が必要になったときの希望(自宅か施設か)

👉 誰もが避けられないテーマ。本人は「自宅で過ごしたい」と思っていても、家族は「施設のほうが安心」と考えることもあります。事前に方向性を話しておくだけで、介護が始まったときの迷いや対立を減らせます。

2. 医療や延命治療についての考え

👉 急な入院や救急搬送の場面では、家族に判断が委ねられることもあります。本人の希望を聞いていなければ、家族は悩み、後悔を抱えることに。元気なうちに意思を共有しておくことが、家族の安心にもつながります。

3. 家や財産をどうするか

👉 相続の話は「まだ早い」と思われがちですが、いざというときに最ももめやすいテーマです。家を誰が継ぐのか、財産をどう分けたいのか、本人の意向を早めに話しておくことでトラブル防止になります。

4. 大切にしている習慣や価値観

👉 「朝は必ず新聞を読みたい」「仏壇のお世話は続けてほしい」など、暮らしのこだわりは本人にとって大切なもの。これを共有しておくと、介護や相続といった実務だけでなく、“心の部分”までしっかり引き継ぐことができます。


でも、いきなり家族に切り出すのはハードルが高いものです。
まずは 自分の気持ちを整理すること から始めると、自然に言葉にしやすくなります。

自分の考えを一度「見える化」しておけば、家族じかんでも落ち着いて話せるようになります。

『家族じかん』をしていれば防げた…事例と工夫

💡 介護の負担でもめたケース
母の介護が急に必要になったとき、役割を決めていなかったため、きょうだい同士で不満が噴出しました。
👉 『家族じかん』で「できること・できないこと」を共有していれば、安心して役割分担ができました。

💡 遺言がなく相続でトラブルになったケース
父が亡くなった後、遺言がなく、兄弟で口論が絶えませんでした。
👉 『家族じかん』で「家は誰が継ぐ?」「財産はどう分けたい?」と軽く話すだけで、解決の糸口が見えました。

💡 延命治療で後悔が残ったケース
母が倒れたとき、延命治療をするかどうかで家族が迷いました。本人の希望を聞いていなかったからです。
👉 普段の『家族じかん』で「延命治療はどう考えてる?」と聞いておけば、迷わず意思を尊重できました。

💡 家の片づけで子どもに負担がかかったケース
親が施設に入るとき、荷物がそのまま残り、片づけに子ども世代が疲弊しました。
👉 『家族じかん』で「残したい物・処分していい物」を語りながら少しずつ整理できれば、負担は大きく減らせました。

💡 思い出が伝わらなかったケース
父のアルバムや趣味道具をどう扱うか分からず、処分してしまったことを家族が後悔しました。
👉 『家族じかん』で「どんな思い出か」「誰に受け継いでほしいか」を語っておけば、宝物として残せました。


家族じかんを円滑に進めるための工夫

  1. 今日のテーマを決める
    「今回は介護のこと」「次は住まいのこと」など、一つに絞ると話しやすい。
  2. 参加する人と場所を決める
    家族全員が理想だが、数人でもOK。場所はリビングや食卓などリラックスできる空間がよい。
  3. 話す順番をゆるやかに決める
    「まず本人 → 次に子ども」という流れがあると安心。
  4. 雰囲気を大切にする
    否定せず、遮らず。穏やかな空気づくりが本音を引き出す。
  5. 感情的になったら休憩
    お茶やお菓子を挟むだけで落ち着いて再開できる。
  6. 第三者の力を借りる
    税理士やケアマネなど、専門家が入ると行き詰まりが解けることも。
  7. 小さく何度も話す
    一度で決めようとせず、季節ごとに少しずつ積み重ねる。
  8. 記録を残す
    話したことをメモやLINEに残しておくと、後で振り返れる。
ぴょこすけ
ぴょこすけ

なるほど! こうやって工夫すれば、“重たい話”じゃなくて、自然に続けられそうだね。


まとめと次のステップ

  • 終活は「ひとりで完結」ではなく、家族と共有して進めることが安心につながる
  • 介護・医療・相続・価値観の4つは、早めに話しておくと後悔やトラブルを防げる
  • 『家族じかん』を持つことで、思いのすれ違いをなくし、心も軽くなる
  • 大切なのは「一気に全部」ではなく、「10分でも小さく、何度も続ける」こと
  • 休憩や専門家の力を取り入れれば、無理なく前に進められる

👉 次の一歩
「介護はどうしたいか」「延命についてどう思うか」――頭に浮かんだことを会話のテーマにして家族に話してみよう。まだの方は自分の考えの整理から始めてみましょう。
自分の思いが少し整理できたら、次の“家族じかん”で気軽に話題にしてみてください。

家族への切り出し方